女郎とは?花魁や遊女との違いは知ってる?

女郎は遊郭で働く、時代劇にもしばしば登場する女性たち。一見華やかそうに見えながら、実は非常にシビアな世界だったのを知っていますか?今回は女郎とはどのような職業だったのかを解説し、おすすめの映画もご紹介します。

女郎とはなんだろう?

女郎という言葉から何をイメージしますか?風俗・客引きなどいろいろなシーンが目に浮かびますよね。しかしその実態はあまりよく知られていないのも事実。いったい女郎はどのような職業で、彼女たちはどんな暮らしをしていたのでしょうか?

花魁や遊女とは違うのか

花魁とは

花魁(おいらん)もよく聞く言葉ですが、吉原ではランクが上の女郎のことを指します。女郎にもランクがあって、花魁の中でも最上位に位置していたのが「太夫」と呼ばれるごく一部の花魁です。花魁になるには教養も必要で、舞踊・琴・書道・茶道などの教養や芸を仕込まれていました。

遊女とは

女郎は近世になって登場した呼称ですが、遊女はそれよりもっと前から存在していた総称です。もともとは芸能に従事していた女性のことでしたが、次第に遊郭や宿場で男性を対象に性的なサービスをする女性のことを意味するようになりました。

湯女とは

遊女の中でも大衆的な遊女のことを湯女(ゆな)と呼び、湯場という今での銭湯のような施設で性的なサービスを行っていました。湯場と言えば、宮崎駿監督の大ヒット映画「千と千尋の神隠し」の舞台になったことでも知られています。

女郎は借金のカタにされたかわいそうな女性たち

どんな女性たちが連れてこられたか

ほとんどの女性が家族や夫の借金のカタで遊郭に連れてこられます。しかもその借金は法外に高いものばかりで、女郎本人がいくら稼いでも、自分で足抜けできるものではありませんでした。

年齢は何歳くらい?

年齢は10代が多く、16~17歳頃から客を取り始めていました。しかし、中には「禿(かむろ)」と呼ばれる10歳未満の子どももいて、花魁や太夫の身の回りの世話をしていました。禿も親に売り飛ばされた子どもたちです。

女衒とは

女郎とは切っても切り離せない存在が女衒(ぜげん)で、女性を遊郭・遊女屋に斡旋する職業のことです。女性を買い付けて売り飛ばす人身売買の仲介業者と言えます。

女郎が生まれてその生業を終えるまで

女郎の職位

10才未満の子どもが経験するのが禿で、花魁の身の回りの世話をしながら遊郭のしきたりについて教育されます。15才前後になると振袖新造という、遊女の見習いに位置するランクになります。17才で正式な遊女となり、容姿や教養などのグレードが高いと花魁、そしてごく一部は最高位である太夫と進みます。

女郎の定年は20代?

女郎は長く続けられる商売ではなく、20代いっぱいでほぼ需要がなくなります。後から若い女性がいくらでも入ってきますし、競争も熾烈だからです。一般的に28才で暇を言い渡されます。

身請けされるなら幸せ

ハイクラスの花魁で上流階級の客に気に入られると、客が遊郭に大金を支払って花魁を引き取ることができました。これを身請けと言い、晴れて花魁を卒業するわけです。花魁として最も幸せな最後とされています。

年季明け

28才まで勤め上げた女郎は年季明けとして遊郭から出されます。その後の多くは約束していた男の元へ行ったり、吉原以外の遊女屋へ行ったりしていました。

病気になったらすべておしまい

女郎たちが特に恐れていた病気は梅毒で、最終的には肉が剥がれ落ちてしまう状態にまで進行します。こうなってしまうと女郎としての価値はまったくなくなり、後は死を待つのみでした。

女郎の一日

卯の時(午前6時頃)

客の男たちが帰っていく時間帯です。歯磨きをしたり入浴をしたりして身支度をします。

辰の時(午前8~10時頃)

男たちが掃除を始める時間です。汚いにおいもかなりするため、香りをたいてごまかしていました。

己の時(午前10時頃)

女郎たちの朝食時間です。朝食を食べ終わると昼見世の始まりです。

未の時(午後2時頃)

昼のお客は武士などが中心だったようです。

酉の時(午後6時頃)

夜の見世が始まります。吉原が活気づいてくる時間帯で、女郎たちは2階から降りてきて自分の定位置に座ります。また、花魁道中も始まり、最高級の花魁が厚底下駄をはいてゆっくりと歩いていきます。

子の時(午前0時頃)

拍子木が打たれ、夜の見世が終了します。これ以降は客のつかなかった遊女はそのまま就寝し、ついた遊女は客と過ごし、さまざまな駆け引きを繰り広げました。これで吉原の一日は終了です。

伝説の女郎たち

仙台高尾

遊郭史上最高値で見受けされた伝説の太夫。身請け金は5億円以上にものぼりました。しかし、見受けした仙台藩主の伊達綱宗には心を許すことなく、怒り狂った綱宗に斬り殺されるという最後を迎えます。

勝山太夫

遊郭きってのファッションリーダーともいえる存在が勝山太夫です。髪型や衣装で斬新な工夫をしたことで注目を集め、真似するものを多く生みました。しかし恋愛には無頓着で誰にもなびかなかったようです。

小柴

和歌が非常にうまく穏やかな性格で人気のあった小柴。本命の男がいたのですが、身請けするほどのお金を持っていませんでした。そこへ別のお金持ちの男から身請け話が入ってしまいました。小柴は結局玉の輿を選ばずに自害を遂げました。

女郎を描いた映画

さくらん

蜷川実花監督作品で、土屋アンナが主演した花魁の物語です。禿として連れてこられてから一流の花魁として成長していく様が描かれています。幼少時代の高級花魁で、憧れの存在であった菅野美穂の演技にも注目です。

吉原炎上

五社英雄監督・名取裕子主演の映画で、吉原ものの代表的な映画とされています。吉原の習慣などがリアルに描かれていてかなり見応えがありますが、中絶などのハードな側面を描くシーンもあります。

【豆知識】女郎蜘蛛の由来は?きれいだから?

女郎蜘蛛の名前の由来は、艶やかで怪しさも感じさせる姿が女郎を連想させたからという説が一般的です。もう一つの有力な説は身分の高い女官である、上臈(ジョウロウ)から取ったという説です。

女郎は華やかに見えて過酷な人生を送った

艶やかな遊郭で客を魅了する女郎ですが、上へいける人間はごくわずかで、彼女たちの多くは過酷な環境で過ごしていました。自分の力では返すのが難しい借金に縛られ、どのような思いでいたのでしょうか。もっと知りたくなった方は女郎を描いた映画をぜひ見てください。